家から近い職場でも、休日まで仕事の連絡が続くと、落ち着いて休めないことがあります。今回は、病院や診療所から在宅の現場へ移ったゆきさん(仮名)の体験談。仕事内容だけでなく、引き受ける役割にも目を向けて読んでみてください。
ご本人の提供原稿をもとに、名前を変え、読みやすく編集しています。以下はゆきさん自身の経験です。
急性期病棟で学んだことと、給与への疑問
看護師として最初に働いたのは、総合病院の急性期病棟でした。手術前後の患者さんの看護や退院支援に関わり、少しの変化も先輩に報告・相談することを学びました。
当時は3交代勤務で、日勤を終えて一度帰宅した後、夜に再び出勤することもありました。業務に追われる日々の中で、担当する役割は増えても、給与がそれに見合って増えているとは感じられなかったといいます。より収入の高い職場を探そうと考えたことが、最初の転職につながりました。
これは当時の本人の勤務条件と受け止め方です。病院勤務とほかの働き方の給与を、一律に比べる材料にはできません。
診療所で広がった仕事と、子育てとの両立
次に働いた診療所では、外来と病棟の業務を交代で担当しました。外来や内視鏡検査など、それまで経験のなかった仕事にも関わるようになりました。
大きな病院との設備や物品の違いに戸惑いながらも、少しずつ診療所の仕事の面白さを感じるようになったそうです。一方、出産後に復帰し、子育てをしながら働く中で、職場環境への負担も重なりました。この環境で働き続けられるか不安を感じ、次の職場を考えました。
通勤しやすい職場でも、休日の連絡が負担になった
その後、事業拡大に関わる役職の話を受け、小規模多機能型居宅介護の職場へ移りました。自宅から近く、小規模でアットホームな雰囲気にも魅力を感じ、主任として働き始めました。
利用者さんの自宅を訪ねる仕事は初めてでした。最初は抵抗もありましたが、生活の場で関わるうちに、利用者さんとの距離の近さや、多職種で連携する面白さを感じるようになったといいます。
ただ、看護師として判断を求められる場面が多く、休みの日にも電話が入ることがありました。本人にとっては、子育てをしながら休日にも仕事へ対応することが負担になりました。

自分が休んでいても職場が回る仕組みを作ろうとしましたが、スタッフへの教育も必要で、すぐに整えることは難しかったそうです。運営側と面談し、それまでの経験を別の環境で活かしたいと相談して、再び働く場所を変えました。
在宅の現場で感じるやりがい
原稿提供時点では、看護小規模多機能と訪問看護が組み合わさった職場で働いています。本人は、病院勤務時と比べて、一人ひとりにじっくり向き合えると感じています。
大切にしているのは、その人の生活や、これまで歩んできた人生を知ることです。人生の最期に関わる場面にも難しさを感じながら、最後まで向き合う仕事にやりがいを見いだしています。
また、気持ちを言葉にすることが難しい相手とも関わりを重ね、話を聞くことを、自分の強みとして挙げています。職場を変えても、人と関わる仕事の軸は残っていました。
やりがいがあっても、夜勤と収入の悩みは残る
新しい働き方を選んだ後も、収入や体力への不安がなくなったわけではありません。本人は、夜勤を増やせばよいという考え方には限界があり、この先いつまで同じように働けるのかを考えているそうです。
家事や育児と仕事をどう組み合わせるか、休みの日にどれくらい対応が求められるか。本人の体験からは、職場の名前や通勤距離だけでは分からない条件が、働き続けやすさに関わっていることが見えてきます。
編集部から:次の職場で確認したいこと
ここからは、体験談をもとに編集部が整理した質問例です。転職するかどうかを急いで決めるためではなく、今の暮らしに合う条件を考える際のメモとして使ってください。

- 休みの日に連絡が入るのは、どのような場合か。
- 自分が不在のとき、判断や相談を引き継ぐ人は誰か。
- 役職を引き受けると、担当業務や勤務時間はどう変わるか。
- 夜勤や時間外の対応は、どの程度見込まれているか。
- 必要な収入と、家庭で確保したい時間を両立できそうか。
本人が感じた負担を、すべての小規模多機能や訪問看護の職場に当てはめることはできません。同じ種類の職場でも、実際の担当業務や相談体制を個別に確かめることが大切です。
あおから:働く場所と一緒に、引き受ける役割も考える
ゆきさんは、職場を変える中で新しい仕事に出会い、そのたびに自分の暮らしとのバランスを見直してきました。近さや雰囲気に加えて、休日の連絡や役割分担まで確かめたいと思わせてくれる体験です。
今の職場で相談できることも含めて、続けたい仕事と減らしたい負担を分けてみる。次の働き方を考えるときは、そこから始めてもよいのではないでしょうか。
コメント